漆でつながる深い縁
東 日出夫(あずま ひでお)さん[漆工芸家]
【プロフィール】
昭和25年(1950)東京・深川生まれ。画家を志していた父親の影響で、ものづくりに関心を持ち、25歳で神奈川県の伝統工芸である鎌倉彫の老舗に入門。木彫や漆塗りの技術の習得とともに、「工房でたたき込まれ習得した」ことに加え、独自に努力し、数年で多くの賞を受けるようになるなど才能を開花。独立した現在では、銀座や六本木のミシュラン三つ星店からも器の注文を受けるなど、人気の漆工芸家として活躍中です。
【朝来への移住】
60歳を機に、活動拠点であった神奈川県逗子(ずし)市から、福島県会津若松市への移住を計画するも東日本大震災の影響で断念。代わりとなる場所として夜久野高原の古民家を探し出し、平成25年6月に移住。「この地域では、かつて京都で使われる漆器作りが盛んだったそうで、また、『地元で育てた漆を使い、竹田で家具を作って嫁入り道具とした』とも聞きます。自宅の天井と梁(はり)に漆が塗られているなど、偶然に見つけた場所ではありますが、深い縁を感じています。」
【金浦で暮らして】
「地域のみなさんが活性化に取り組まれていて、『いいところに来られた』と思っています。」また県立大学大学院で、但馬の芸術祭を研究したほか、金沢で工芸家を目指す若者の指導にあたるなど、ますます活躍の場を広げています。
朝来市広報誌2018年4月号に掲載